医療的観点交えながら経済・経営を考えるサイト

医療的観点交えながら経済・経営について考える医師のサイト

コロナウイルス増殖抑制作用が示されたモルヌピラビルとは?機序をわかりやすく解説

www.afpbb.com

 ドイツの製薬会社大手のメルクは、アメリカのリッジバック・セラピューティクスと共同開発しているモルヌピラビルが、臨床治験において、新型コロナウイルス感染症患者の体内からウイルス量を減らす効果を持つことが示されたと発表しました。

 モルヌピラビルは、"合成ヌクレオシド誘導体N4-ヒドロキシシチジンのプラドラッグ"と表現されています。ヌクレオシドというのは、コロナウイルスの遺伝情報であるRNAを構成する要素のことです。シチジンはその1つで、他にアデノシン、グアノシン、ウリジンの4つがあります。プラドラッグとは、そのままの状態では薬効を持たないけれども、体内で代謝されることで薬効を持つようになる薬のことです。モルヌピラビルは、体内で異常なRNA構成要素に変換され、ウイルスのRNA合成を妨げることで、ウイルスの増殖を妨げる薬になります。

 現在、フェーズ2aが終了し、有効性が示されました。実用化までには、より多くの患者で行うフェーズ2b, 3をクリアする必要があります。